
「ロボット玩具:日本文化との出会い」展 – 時代を超えた旅
2023年12月23日から2024年2月25日まで、「ロボット玩具:日本文化との出会い」がヴェルサイユ市の歴史的建造物に指定されている旧王立病院「リショー館」で開催されました。この展覧会では、300点もの希少で貴重な日本のヴィンテージロボットの印象的なコレクションが展示され、来場者は魅惑的な世界に没入しました。
ヴェルサイユの「Espace Richaud」(エスパス・リショー)とは?
ヴェルサイユ市といえば、世界遺産のヴェルサイユ宮殿が有名ですが、実は宮殿だけでなく、街全体に王家ゆかりの建物が数多く残っています。当時の面影を残す美しい建物が、今も街の景観を彩っています。
エスパス・リショーは、18世紀にルイ15世の命により王立病院として建設されました。現在は、展覧会、コンサート、演劇など、さまざまな文化イベントが開催され、ヴェルサイユ市の文化発信拠点としての役割を担っています。
ヴェルサイユ市では、伝統的なイベントだけでなく、現代的でユニークな展覧会も数多く開催されています。国内外のアーティストによる作品が展示され、刺激的な芸術体験ができます。また、日本のマンガやアニメに焦点を当てたイベントも人気で、地元の人々はもちろん、観光客も楽しんでいます。
日本のロボット文化の誕生:バティスト・カイヨー氏の魅惑的なコレクション
この魅力的な日本のロボットの世界への没入体験は、展覧会のキュレーターであり、俳優、そして名門クール・フロラン演劇学校の演劇教授でもあるバティスト・カイヨー氏によるものです。
7歳から日本文化に魅了されている38歳の彼は、フランス最大の日本のロボットの個人コレクションを所有しており、その数約1,000点、うち500点がロボットです。
この並外れたコレクションの始まりは、子どもの頃に父親と行った蚤の市で、箱の底のほうにあった、フランスで、Goldorak(ゴールドラック)と呼ばれている、グレンダイザーの超合金を見つけたことから始まりました。
「当時、私はプラスチック製のおもちゃしか持っていなかったので、すぐに魅了されました。とても美しかったのです」と彼は語ります。
これをきっかけに彼の収集が始まり、「14歳の時には、父とeBayで最後の瞬間まで入札合戦を繰り広げたものです」と彼は回想します。
バティスト・カイヨー氏は長年インターネットでコレクションの多くを見つけてきましたが、現在では彼の絶え間ない宝探しを知っているコレクターたちが直接彼に連絡してくるようになりました。最近になってヴェルサイユ市から伝説的なおもちゃの一部を展示する機会を与えられたときには、すぐに承諾したそうです。






日本のロボットの歴史を辿る魅力的な展覧会
この展覧会は、何世代にもわたって忘れられない足跡を残してきた日本のロボットの文化的歴史を明らかにし、来場者を魅惑的な旅へと誘いました。
フランス初の試みとなるこの展覧会では、1970年代、80年代、90年代のヨーロッパにおける日本文化の多様性と影響力を辿り、ゴレンジャー、グレンダイザー、ガンダム、鉄人28号などのレトロなおもちゃに光が当てられました。
これらのおもちゃは、単なる遊び道具ではなく、子供の想像力、伝統的な武道、現代のロボット工学を融合させたシンボルとして体現され、ブルマァク、タカトク、クローバー、ナカジマなど、当時の日本のおもちゃ製造業者による作品も展示され、フランスの人々にとっては初めて見ることとなる多くの宝物が公開されました。
この展覧会の中心には、キャプテンフューチャー、宇宙からのメッセージ・銀河大戦、鉄腕アトムなどの漫画やポップカルチャーのキャラクター、そして日本の東京ムービー新社とフランスのDICの共同制作による、宇宙伝説ユリシーズ31などの作品が出展されました。
しかしフランスで最も有名なのはやはり、1975年に永井豪氏によって創造された「UFOロボ グレンダイザー」という原題のゴールドラックです。作者の永井豪氏は、1972年にマジンガーZで巨大ロボットものという新たなジャンルを開拓し、内部から操縦されるロボットのパイオニアとして歴史に名を刻みました。
この展覧会は、単なるおもちゃの展示を超え、魅力的な文化的歴史を物語るものでした。子供の目の高さに設置されたショーケースに展示された数百点の作品は、家族全員で楽しめる没入型の体験を提供しました。
これらの伝説的なロボットやおもちゃは、トランスフォーマー、パワーレンジャー、バイオマンなどの後の作品に影響を与え、未来的なロボットの表現を再定義する豊かな遺産を残しました。
この展示会のハイライトは、2021年にケ・ブランリ=ジャック・シラク美術館で開催された「究極の戦い」展のためにスタジオQFXワークショップによって制作された、BlackFireとして知られる全長4.50メートルの巨大ロボットでした。
このロボット展は、日本の卓越した技術的創造性を体現し、ロボット工学に対する日本人の情熱と、数十年にわたるこれらの作品の魅惑的な進化に光を当てました。
ロボットは、単なる人気アイコンではなく、当時ヨーロッパで日本文化が隆盛する中で最も人気のあるおもちゃとしての地位を確立したのです。
この展覧会は、ノスタルジーと革新が融合した魅惑的な体験を提供し、世代を超えた視覚的な旅となりました。それは、年配の人々には子供時代を追体験させ、若い世代には世界を魅了したこれらの神話的なロボットを発見する機会を与えました。
想像力とテクノロジーが融合して伝説的なおもちゃを生み出した時代の日本文化遺産の、前例のない素晴らしい祭典となりました。
展覧会に行かれた日本の玩具マニアのかたのVLOGです。