核抑止の未来はどこに向かうのか
エマニュエル・マクロン大統領が革命記念日の前夜に語った演説は、これまでの外交・安全保障路線を改めて世に示すものでした。ただし、そこにあるのは単なる決意表明ではなく、21世紀の国際秩序が大きな節目を迎えていることへの焦りにも似た緊張感です。
自由や主権といった大きな言葉が過剰に響くときほど、世界は安定から遠ざかっているのかもしれません。
フランスの新たな立ち位置
マクロン大統領が語ったのは「自由がこれほどまでに脅かされるのは、第二次世界大戦後で初めてだ」という危機意識でした。その背景には、ロシアや中国の拡張的な振る舞い、イスラム主義テロの残滓、北朝鮮の核恫喝、イランの核開発の進展、そしてハンガリーやアメリカ、インドに見られる民主主義の後退があります。
近年は、ヨーロッパ周辺の中規模国家までもが武力行使をためらわず、国際法や多国間主義の枠組みを軽視する動きを強めています。トルコ、イスラエル、アラブ首長国連邦など、地政学的に重要な国々が独自の行動を加速させている現在、フランスは従来の均衡維持の立場から、より能動的なプレイヤーへと押し出されつつあります。
混迷する地政学的環境とヨーロッパの再軍備
7月のNATO首脳会議では、ヨーロッパ諸国とカナダが2035年までに防衛費を国内総生産比3.5パーセントに増やすことで合意しました。従来目標であった2パーセントを大幅に上回る数字であり、現在の不安定な状況が各国を急速な再軍備へ向かわせていることを示します。
古代ローマの「平和を望むなら戦争に備えよ」という言葉は、いまのヨーロッパでまさに日常の合言葉となりつつあります。
核兵器の現状と、その危険なバランス
2020年時点で、世界に存在する核弾頭は推定9,340発。冷戦期の6万発超と比べれば大幅に減りましたが、破壊力という意味ではなお地球文明を何度も壊滅させ得る水準です。
主な保有国は次のとおりです(展開済み+備蓄の推計)。
米国 3,700
ロシア 4,309
フランス 290
イギリス 225
中国 600
インド 180
パキスタン 170
イスラエル 90
北朝鮮 50
米ロが圧倒的多数を占める構造は変わっていませんが、近年は中国の急拡大が際立ちます。インドとパキスタンの対立、北朝鮮の技術的進展、イランの核開発の加速といった要素が重なり、地域的なバランスは一段と不安定になっています。
英仏協調という新しい核抑止モデル
こうした情勢を踏まえ、マクロン大統領はフランスとイギリスというヨーロッパの2つの核保有国が、これまで以上に抑止力を統合していく必要性を訴えました。
両国は従来、潜水艦発射弾道ミサイルや戦略原潜をそれぞれ独自に運用してきましたが、今後は指揮統制の共通化、合同訓練の拡大、次世代潜水艦の共同研究など、より深い協調に踏み込みます。緊急時には2国の抑止力を連動させ、迅速に「二重抑止」を発動する体制の構築が目指されています。
これは潜在的な敵対国に対して明確なメッセージとなるだけでなく、ヨーロッパ自身が安全保障の中心に戻ろうとする意思表示でもあります。
戦争の輪郭を変えた「ハイブリッド戦」
フランス参謀総長ティエリー・ブルカード将軍は、現代では武力衝突の前段階としてサイバー攻撃や偽情報(ディスインフォメーション)が必ず仕掛けられることを強調しています。
2022年春には、マリ・ゴッシで「フランス軍による民間人虐殺」という偽映像が拡散されました。ロシア系勢力が関与し、情報空間を攪乱する典型的な手法でした。フランス軍はドローン映像で事実を公開し、世論操作を防ぎましたが、この出来事は情報戦が国家の信頼性を揺るがしかねないことを浮き彫りにしました。
将軍が語る抑止の要は、もはや核だけではありません。情報空間での迅速な検証、フェイクの無効化、透明性の確保が軍事行動と同じ重みを持つ時代に入ったということです。
ドローンがもたらした戦い方の変化
ドローン技術の台頭は、兵器の概念そのものを塗り替えています。低コストで量産可能な無人機は、破壊力と心理的なインパクトにおいて大型兵器に匹敵し、ウクライナ戦争では攻撃の多くがドローンによって行われるまでになりました。
ガレージでも製造できる柔軟性、使い捨て前提の設計、高度な電子戦能力など、従来兵器とは全く異なる発想が軍事の中心に迫っています。ブルカード将軍は、高価な精密兵器のみでは長期戦に耐えられないと指摘し、大量消耗を前提とした装備体系の必要性を強調します。
核秩序の揺らぎと「最後の砦」としての英仏
核戦略の専門家ブルノー・テトレアス氏は、核不拡散の枠組みがほころびつつある現状を危惧しています。相互確証破壊理論が成り立つためには、各国が最低限の合理性を保つことが前提ですが、その前提が崩れつつあるという指摘です。
イラン、北朝鮮、中国の台頭。ロシアによる核の恫喝。米国の国内混乱。大国の行動が読めなくなるほど、従来の核秩序は脆弱になります。彼は、英仏協調が「国際秩序の最後の防壁」になり得ると述べています。
抑止の網を広げるという発想
ジャーナリストのフランソワ=ギヨーム・ロラン氏は、戦後の核秩序がどのように形づくられてきたかを振り返り、国際機関や条約への信頼が核戦争を回避してきたと指摘します。しかしその信頼が現在、最も危険な段階に入っています。
帝国主義的野心、テロ、核拡散、民主主義の劣化、情報空間の攪乱といった複合的な問題が重なる現代では、軍事力だけでは抑止は成り立ちません。情報戦、外交、産業政策、技術開発を組み合わせ、広くしなやかな抑止の網をどこまで広げられるかが鍵となります。
自由と安全を同時に守るために必要なのは、軍備増強だけではありません。ヨーロッパが結束し、世界と協調しながら、新しい秩序を構築していく姿勢が問われています。
戦争とか核の話になると、どうしても日本人である自分と周りの西洋人との考え方のギャップを感じてしまう。西洋のひとたちは平和が一番大事だと言うけど、それと同時にやられたらやり返さなければ、という考え方も根強く持っている。やり返したら戦争になってしまうじゃないか、と思うけど、それでは自分の国がなくなってしまっていいのかと言われればそれももちろん嫌だ。そこが言い返せないのがわかってるから議論に入れない。
それにマクロン大統領には悪いけど、ぼくは核の抑止力というのを信じていない。核を使ったら核保有国が核を発射してくるから、核を使うのを止めておこう、と思うのが抑止力ってことだよね。それは、相手の国が自分たちと同じような考えかたを持っていることで成り立つ話だと思うんだ。ぼくはロシアが、というかプーチン大統領が僕らと同じ考えかたをする人だとは到底思えないし、常識的な反応を期待するのは危険だと思うんだ。意外と思考に一貫性がなく、指示にも同一人物が下したとは思えないムラがあり、それが替え玉が何人もいるという説に繋がっている部分もあると思う。
2022年4月の「仏軍による民間人虐殺」報道だって、ロシア軍が得意な虚偽のプロパガンダ作戦でありながら、元KGBが計画したとは思えないほど雑な作戦だった。フランス軍がマリ北部のゴッシ(Gossi)駐屯地をマリ軍に正式に引き渡した直後、現地で「フランス軍による市民虐殺の証拠」として多数の遺体が発見されたというフェイクニュースがソーシャルメディア上に流布されたんだ。しかし、4月19日に基地上空をパトロールしていたドローンの映像には、ロシアのワグネル系とみられる武装勢力が、ワグネル・グループとマリ軍がホンボリで逮捕・処刑した人々の遺体をトラックで基地近くに運び込み、埋葬する様子がはっきりと映っていた。更にその計画を記したロシア軍の内部文書まで発見されてしまっている。
フランス国防省報道官が記者会見で「この一連の行為は、ロシア政府と連携するワグネル・グループが仕組んだ情報攻撃だ。」と断言し、フランス軍は一切関与していないことが証明され、大したニュースにもならずに終わるというお粗末な結果だった。この時代にドローンが上空から偵察していることにさえ気づかず、普段の装備のままで工作を行い撮影したフェイクニュースで(フェイクニュースのわりに大変な労力だ、AIで生成したほうがまだ話題になったのではないか)、フランスに、というかどんな国相手にでもダメージを与えることができると真剣に思ったのか、腹が立つというより心配になった。
ワグネルが実行役だったからいい加減だったのでは、と思うかもしれないけど、その後にプーチン大統領が軍に直接指示したという、パリ・オリンピックへの妨害、選挙の妨害、エッフェル塔近くに「ウクライナ兵を称える棺桶」が置かれた事件、工場・変電所への放火、と数えればきりがない。ひとつひとつの嫌がらせは迷惑ではあるけど殆ど失敗しているし話題にもなっていない。ロシアに楯突くとこのようなことになるという脅しなんだろうけど、軍が関与しているとは思えないほど素人的な作戦で、脅威に思うというより、ロシア軍の実力ってこの程度なのか?ということのほうに驚いてしまう。油断させるためにわざと幼稚な手段を使っているのだろうか?エッフェル塔近くの棺桶パフォーマンスなんてもはや、厨二病ですか?というレベルで、労力のわりに何が狙いだったのかもよくわからない。
ウクライナ戦でロシアが北朝鮮と組んだけれども、やっぱりというか、やっていることがよく似ている。北朝鮮は1998年と2009年、2012年に人工衛星を打ち上げた際、「金日成将軍の歌」や「金正日将軍の歌」といった指導者を称える楽曲を地球に向けて送信していると主張していたけど、国内外へのプロパガンダの一環だったということだ。国内はどうあれ、それを脅威に感じた国は皆無だろう。 プーチン大統領はよく「ロシアのない世界に存在理由などない」、「自分が統治しないロシアに未来はない」と発言しているけど、もし病気などになって余命わずかになったら、側近が抱えているアタッシュケースの核爆弾のボタンを全部押して、ロシアともども世界を滅亡させてしまうのではないだろうかという懸念がある。まさかと思うだろうけど、彼がやってきたことは、「まさかそんなことはしないだろう」ということばかりだ。彼はロシアの愛国者などではなく、ロシアを統治している自分が好きな究極のナルシストなのではないかと思う。国民のことを考えているとは到底思えないし、戦争に負けるくらいなら、あるいは自分が死んでしまうなら、この世界も一緒に消えてしまえばいい、と思っても不思議はない。
今更と言われるだろうけど、やはり大統領(国のトップ)の一存で、核爆弾を発射できるような現状はおかしいと思う。核爆弾のボタンを押すことは、何段階かの決定機関を経て、せめてひとりの人間ではなく複数の人間が同時にボタンを押さなければ発射できないようなシステムを義務化して欲しい。核爆弾を禁止できないのであれば、せめてそのくらいの権限は、CTBTO準備委員会(準備委員会付き包括的核実験禁止条約機構)や国際原子力機関(IAEA)が持つべきではないかと思う。本当は同時にボタンを押す役の中にIAEAの人も入れてほしいけど、確実に受け入れてもらえないだろうから、せめて同じ国の中の常識を持った人を入れるようにしてほしい。
大統領は人格者であり、常に国民のことを考え冷静である、という理想はもはや幻想だし、マッドサイエンティストどころかマッド大統領が続々と現われている今、核保有国の大統領が世界を滅ぼせるような権限まで持つのは危険すぎると思うんだ。
パリロボのひとりごと
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