
CESとは?
CES(Consumer Electronics Show)は、毎年1月にラスベガスで開催される世界最大級の家電見本市です。世界中から家電メーカーやIT企業などが参加し、最新の技術や製品を発表します。CESは、家電業界の動向を知る上で重要なイベントであり、世界中のメディアから注目されています。
CESは、世界のスタートアップ企業にとって、以下のような機会を提供することから、スタートアップ企業が海外進出するための登竜門としても有名です。
世界的な注目:
ネットワーキング:
資金調達:
市場の洞察:
アメリカ市場への進出:
フランスのスタートアップ企業が直面している課題とは
フランスのスタートアップ企業は、CES 2025において、いくつかの課題に直面しています。
スタートアップ企業の参加数の減少
2025年のCESにおけるフランスのスタートアップ企業の参加数は、前年と比べて減少しています。2025年には、Business Franceの支援を受けて110社のフランスのスタートアップ企業がCESに参加しましたが、2024年の135社から減少してしまっています。
2018年と2019年には、COVID-19パンデミック以前は300社以上のフランスのスタートアップ企業がCESに派遣されており、パンデミック以降は参加者が減少するいっぽうとなっています。
減少の最大の理由は、フランスの政治と経済の不安定な状況です。
フランスは2024年7月に実施された実施された解散総選挙の結果により、過半数の党が存在しないハング・パーラメント(hung parliament)議会となったため、法案の成立が難しくなり、2025年度の予算が2025年に入っても議会を通過できないという前代未聞の状況に陥っています。
そのため海外からの投資が停滞するなどの影響が出ており、スタートアップ企業の海外進出にも遅れが出ています。
参加企業の減少が、スタートアップ企業の海外進出に与える影響と、今後の課題は以下の通りです。
CESへの出展数の減少が、スタートアップの未来に与える影響
スタートアップ企業への投資環境の悪化:
CESにおけるフランスの存在感の希薄化:
資金調達の困難さ:
韓国企業との競争:
CESへの出展の意義と今後の課題
国際的な認知度向上:
アメリカ市場への適応:
市場の洞察:
政府の支援:
CESはフランスのスタートアップ企業にとって、大きな課題と機会に満ちたイベントです。 課題を克服し、機会を最大限に活用することは、フランスのスタートアップ企業が国際的な成功を収めるために不可欠であり、政府によるテコ入れが行われています。
Business Franceによるサポート体制
フランス企業の国際的な成長を支援する政府機関であるBusiness Franceは、CESへの参加を最大限に活用できるように、スタートアップを支援する準備プログラムを開発しました。
参加者は、資金調達、ピッチング、アメリカ市場の理解、CES後の産業化に関するコーチングセッション、メディア、広報、輸送、ロジスティクスに関するワークショップの恩恵を受けています。
Business Franceは、BMWグループ、三菱電機、ソニーイノベーションファンド、ゼネラルモーターズなどの主要企業との団体面会も設定しています。
Business Franceは、CESに参加するフランス企業を、下に挙げるようなさまざまな方法で支援しています。
準備プログラム:
ネットワーキングの機会:
フランスパビリオン:
広報活動:
これらの支援策により、CESに参加するフランス企業は、ビジネスチャンスを拡大し、国際的な認知度を高めることができます。
フランスからの初出展の企業は80%という健闘
Business Franceの支援のおかげもあり、総出展企業数は減少したものの、CES 2025に出展したフランス企業のうち、初出展の企業は80%を占めています。 これは、フランスのスタートアップエコシステムが常に刷新され、新しい企業が次々と生まれていることを示しています。
CES 2025は、これらの新しいスタートアップ企業にとって、国際的な舞台で自分たちのイノベーションを披露し、投資家やパートナーとつながる貴重な機会となりました。
フランスから出展した110社のスタートアップ企業のうち、100社がEureka Parkに、10社がラスベガスコンベンションセンターの自動車パビリオンに出展しました。
フランス企業は、ヘルスケア、グリーンテクノロジー、モビリティという3つの主要セクターに焦点を当て、質の高いイノベーションを披露しました。 特にヘルスケア分野は、フランスパビリオンのスタートアップ企業の4分の1を占めていました。
フランス政府の支援機関であるBusiness Franceは、スタートアップ企業のCESへの参加準備、ネットワーキング、資金調達を積極的に支援しました。 Business Franceが提供した支援には、以下のようなものがあります。
CES 2025での、フランスの技術革新の世界市場における位置付け
フランスの技術革新は、CES 2025において、世界市場で確固たる地位を確立し、いくつかの主要な分野で注目を集めています。
人工知能(AI):
持続可能な技術:
モビリティ:
ロボット工学:
これらの分野は、世界的に関心の高い分野であり、フランスのスタートアップは、これらの分野における技術革新を通じて、世界市場での存在感を高めようとしています。

昨年から続くフランスの政治・経済界の混乱は、2013 年に開始したフレンチテックにとって過去最大の危機と言える。健康危機が産業界にとって大きな打撃となった2020年でも、フランス国内におけるスタートアップ投資額は52億ドル(約5700億円)に増資され、ヨーロッパではイギリスとドイツに次ぐ3番目の投資額となり、ヘルスケアやロジスティックなど、時代のニーズに特化したスタートアップがどんどん生まれて、向かい風を追い風に変えてきたんだ。しかし、政治不安と国の赤字が原因となった経済の低迷や国債の格付けの引き下げは、海外の投資家たちが最も投資を控える要素だから、まだ地盤がしっかりしていないスタートアップにとっては、たった一打でも致命的な打撃になってしまう。そのうえ今回の経済危機は、フレンチテックの生みの親とも言われ、France 2030を政策のトップに掲げてきたマクロン首相が原因となった政治危機でもあり、フレンチテックに関する発言をすることは官僚たちにとって、踏み絵か地雷を踏むような、避けるべき話題になっている雰囲気がある。
でも大変な状況でこそ、官民が協力して地盤を支え、せっかく出た芽を育てていかなければ未来への希望は生まれないよね。政府の機関であるBusiness Franceは政局が不安定ななかで(2024年だけで首相が4人も変わったという前代未聞の状況だ)よく支援してきたと思うし、たとえ減少したとは言え、110社ものフランスのスタートアップ企業がCESに出展できたのは、すごい健闘だと思うんだ。この荒波を乗り越えて自分たちの足で歩いていけるよう、陰ながら応援しているよ!