ITER-01
ITERは、太陽や星のエネルギー源である核融合を地球上で再現し、二酸化炭素を排出しない大規模な発電エネルギー源としての実現可能性を実証することを目的とした、世界で最も野心的なエネルギープロジェクトの一つです。核融合は、燃料となる水素同位体(重水素とトリチウム)が豊富に存在し、原理的に「実質的に無制限、クリーン、安全、そして手頃な価格のエネルギー」を提供できると期待されています。ITERの科学プログラムの成果は、「将来の核融合発電所の道を切り開く上で決定的なものとなる」とされています。

用語集:

  • プラズマ(plasma
    プラズマとは、固体、液体、気体にならぶ「物質の第4の状態」です。その状態とは、原子や分子が刺激されて(原子核と電子とのように)正と負との電気を持った粒子群に分かれて、激しく動き回っている状態を指します。私たちの身の回りから宇宙に至るまでさまざまなところに存在するプラズマは、生活に身近な蛍光灯や半導体製造技術、人工衛星のエンジンなどの活用例があり、将来における新たな発電技術としての応用も期待されています。
  • トリチウム(tritium
    トリチウム(T)は、水素の同位体の一つで、質量数が3である放射性物質です。通常の水素原子(陽子1つから構成)に対して、トリチウムの原子核は陽子1個と中性子2個から成り立っています。このため、トリチウムは「三重水素」とも呼ばれます。トリチウムは、核融合反応において重要な役割を果たすことが期待されており、将来的には持続可能なエネルギー源として注目されています。また、トリチウムを用いた放射線治療や、照明装置などにも応用されています。
  • 重水素deutérium):
    重水素(じゅうすいそ、英: heavy hydrogen)またはデューテリウム(英: deuterium)とは、水素の安定同位体の一つで、原子核が陽子1つと中性子1つから構成されています。重水素は、質量数が2であり、通常の水素(質量数1)に比べて約2倍の質量を持ちます。