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ルノー社が2025年4月に予約受け付けを開始するRenault 5 TURBO 3Eは、レトロゲーミングやドリフトといった要素を取り入れたユニークなコンセプトの高性能な電気自動車です。ヨーロッパ、中東、日本、オーストラリアといった国々(アメリカを除く)で予約可能となっていますが、全世界で1980台の限定生産となり、既にコレクターズアイテムとなる可能性も高いことから、激しい争奪戦となりそうです。
パリロボくん
パリロボくん

見ているだけでワクワクするような、おもちゃみたいな車だね。(値段は全然おもちゃじゃないけど)細かいところにまで遊び心が効いていて、技術チームもデザインチームも楽しみながら開発したことがわかる。
1980台しか生産しないということ自体、利益を追求していないのは明らかだけど、フランスの自動車業界、特にルノーは業績が低迷しているにも関わらず、こんな消費車にとってもメーカーにとってもお遊び的な車に結構な開発費をかけるなんて、幹部からよく許可が出たなあと思う。ルノーは元国営ということもあって天下り官僚も多く、政府との関係も強いから、本社はエリート主義的な雰囲気が濃くて、PSAなどの他の自動車メーカーに比べるとちょっとピリピリした感じ。工場はもっとフレンドリーな感じだけど。
でもルノーが得意な車づくりって、運転しやすく経済的という庶民的な車なんだよね。上のYoutubeビデオの中でも「今回はルノーの車だけど、おばあちゃん用じゃないよ!」という発言があるけど、まさにそれが若い人たちにとってのルノー車のイメージ。特にルノーの売り上げを支えたルノーサンクや後発のクリオは、サイズも小さくて小回りも効くから、免許を取って初めて運転する人や高齢者に選ばれることが多く(イタリアのフィアット500とか日本だと古くはスバル360的な感じかな)、古い映画を見ていても、くたびれた刑事がドアがへこんで閉まらないルノーサンクに乗っていたり、バカンスに出たお金のない若者たちが、ガス欠で皆で押しているのもルノーサンクだったりする。50代後半から60代以上の人たちには、免許を取って初めて買ってもらった車がルノーサンクだった、という人が多いから、きっとルノーの幹部たちにとっても、青春の車というか特別なノスタルジーがある車じゃないかと思うんだ。自動車に勢いがあった時代に皆に愛されたルノーサンクの50周年という節目に、また活気を取り戻したいという気持ちで、このプロジェクトに力が入ったのではないかな?と想像してしまう。2020年に Renault グループ CEO に就任した Luca de Meo氏は、新しいことが好きでルノー車のイメージの若返りを図っているから(やはりイタリア人はデザインから変えるよね)、これまでの保守的なイメージを刷新して、挑戦的なラインを出してくるんじゃないかな。庶民に愛される車作りを目指すことがルノーらしさだとは思うけど、価格で勝負したらアジアからどんどん入ってくる安価な車には勝てないから、Renault 5 TURBO 3Eで初心に戻って、個性的で魅力的な車作りを頑張ってほしいな。