
リスクゼロの投資プラットフォーム
Swaive(スウェイヴ)は、リスクを避けたい個人投資家向けに、安全性の高い金融商品だけを提供するオンライン投資プラットフォームです。フランスの著名実業家であるグザヴィエ・ニール氏やベルナール・アルノー氏、さらにギャラリー・ラファイエットのオーナー一族など、多くの著名投資家が支援を表明しており、2025年の「投資すべき100のスタートアップ」にも選出されています。
貯蓄好きなフランス国民をターゲットに
「フランス人がリスクを嫌うのは、いまさら説明するまでもありません」と語るのは、Swaiveの創業者カレン=ロール・ムレジェン氏です。フランスでは、5700万人以上が「リブレA(Livret A)」という政府保証付きの無リスク預金口座を保有しており、次に人気なのが「LDDS(持続可能な開発支援預金口座)」です。これらはどちらも年間2.4%(税引き後)の利息が付く無リスク商品であり、国民の大多数に支持されています。
しかし、それ以外の無リスク商品は銀行側の利益が少ないため、あまり市場に出回っていません。そのため、フランスの家庭や企業の預金のうち1兆2000億ユーロ(約194兆円)が、現在でも普通預金口座に眠っている状態です。これらの預金は、銀行が毎晩ヨーロッパ中央銀行(ECB)に預け入れることで年間450億ユーロ(約7.3兆円)もの利益を生み出していますが、預金者本人には一切の利益がもたらされていません。
金融市場出身の創業者が仕掛けるデジタル革命
この非効率な現状を変えたいと考えたのが、中央理工系(Centrale Supélec)およびESCPビジネススクールを卒業したカレン=ロール・ムレジェン氏です。彼女はBNPパリバの市場部門で7年間アナリストとして経験を積んだ後、2024年初頭にSwaiveを創業しました。
彼女が立ち上げたこのプラットフォームは、定期預金口座や高利回りの預金口座など、リスクゼロの金融商品だけに特化しています。証券仲介業に必要なすべてのライセンス(Orias、COBSP、CIF)を取得済みで、サービスは2024年1月から正式に稼働しています。
著名投資家も注目 ー 2.2百万ユーロの初期資金を確保
Swaiveは立ち上げ時に220万ユーロ(約3億5600万円)の資金調達を実施し、グザヴィエ・ニール氏やベルナール・アルノー氏、さらにはギャラリー・ラファイエットのファミリーオフィスなどからの出資を受けました。
銀行パートナーとしては、すでにCFCAL(クレディ・ファンシエ・コミュナル・アルザス・ロレーヌ)とオーストラリア系のマッコーリー銀行が加わっており、今後も連携先を広げる予定です。
プラットフォーム開始後すでに3,000人のユーザーが登録しており、平均投資額は22,000ユーロ(約356万円)と、一般的なオンライン貯蓄サービスよりも高水準です。
明確なターゲットと成長戦略
Swaiveのターゲットは明確です。まず、リブレAやLDDSをすでに満額利用している個人投資家(約600〜700万人)です。次に、収入が不定期で貯蓄管理に課題を抱える起業家や自由業者。そして、最後に資金運用の効率化を図りたい企業の経理部門や財務担当者です。
今後の成長のために、Swaiveはマーケティング費用と人材強化を目的として、さらに700万ユーロ(約11億3400万円)の追加資金調達を目指しています。現在のチームはわずか8人ですが、今後は急速な人員拡充と提携拡大により、競争の激しい金融テック市場での地位確立を目指します。
企業情報
- 企業名:Swaive(スウェイヴ)
- 設立:2024年初頭
- 創業者:カレン=ロール・ムレジェン氏(Centrale Supélec、ESCP出身/元BNPパリバ アナリスト)
- 所在地:フランス
- 技術内容:リスクゼロの金融商品に特化したデジタル投資プラットフォーム(定期預金口座・高利回り預金口座など)
- 主な用途:安全性重視の資産運用
- 現在の状況:
- ライセンス取得済(Orias、COBSP、CIF)
- パートナー銀行2行(CFCAL、マッコーリー)
- サービス提供中(2024年1月より)
- 登録ユーザー数:約3,000人
- 平均投資額:22,000ユーロ(約356万円)
- 商業化の進行状況:サービス提供中で拡大フェーズに突入
- 目標資金調達額:
- 初回調達:2.2百万ユーロ(約3億5600万円)済
- 今後の資金調達目標:7百万ユーロ(約11億3400万円)
- ターゲット顧客:
- リブレA/LDDS満額利用者(約600〜700万人)
- 起業家・自由業者
- 企業の財務担当者
- 想定ユーザー層:リスクを取らずに資産運用を希望する個人および法人
- 対象市場:フランス国内の個人および企業預金者
- 売上見通し:未公開だが、登録ユーザーと投資額から今後の成長が見込まれる
